デジタルウェルネスキーワード集

Digital Wellness Glossary

※ まだまだ、掲載が追い付いていません。専門家の皆様、ご協力いただけるととても助かります。ぜひお声掛けください。

索引

用語集

1.デジタルウェルネス基本用語

ウェルビーイング

Well-being

ウェルビーイングは(well-being)は、様々に定義可能であるが、デジタルウェルネスラボにおいては、人生に見出したい価値に照らして納得できる生き方をしている状態」と定義されるウェルビーイングは例えば、幸福度調査に代表される、心理学や経済学分野における主観的幸福(Subjective Well-being(SWB))研究や、ポジティブ心理学におけるウェルビーイングな状態になるための実践方法が世間に広く知られることとなったため、ウェルビーイング=(主観的)幸福、とされることもあるが、ウェルビーイングは、単に「幸せ」を感じていたり「満たされている」ことだけを意味するのはない。よりその人にとって本質的な価値を実現した状態を意味するまた、ウェルビーイングは、倫理的(エシカル)観点から見れば、私のみならず、他者や社会、さらには地球といったマクロなスケールにおいても、よい影響を与えるものであることを目指すことが望ましいとされる。

デジタルウェルビーイング

Digital Well-being

デジタルウェルビーイングとは、デジタルテクノロジーをもちいて実現するウェルビーイングであり、様々に定義可能である(例:Digital Wellbeingの29個の定義(https://digitalwellbeing.org/what-is-digital-wellbeing-a-list-of-definitions/))。また、同名のGoogleのandroid端末にプリインストールされたスクリーンタイム管理アプリが存在する(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.wellbeing&hl=ja&gl=US)。


なお、デジタルウェルネスラボでは、デジタルウェルビーイングは、「デジタル環境において、人生において見出したい価値を実現した状態」としている。その実現は、単にデジタルテクノロジーを道具としてウェルビーイングを実現するというものではなく、テクノロジーと人がお互いの特性をよりよく理解したうえで価値を作りあうようなよりよい関係性を前提として実現する。そのためには、使い手や設計者にデジタルウェルネスな考え方が求められる。

デジタルウェルネス

Digital Wellness

現代のデジタル環境の中で、人は、デジタルテクノロジーのことをよりよく知り、適切な対応をすることでウェルビーイングを実現できるという考え方、およびそのための実践方法やそれを実現した生き方。問題の多い現代のデジタルテクノロジーについてのリテラシーを高めることや、自分のウェルビーイングという軸を立てること、さらには、デジタルデバイスの問題点やメリットについて、実生活で充分に気がついている(マインドフル)ことなどが求められる。

デジタルフローリシング

Digital Flourishing

アメリカのDigital Wellness Instituteが提唱する概念で、デジタルテクノロジーを、中毒(アディクション)になるほど使うのでも、その反対の完全にを手放す(デジタルデトックス)のでもなく、その中間に位置する理想的な状態。デジタルデバイスを、日々の生活の「Flourishing(繁栄)」をサポートするものにするために、テクノロジーの利点を活かしつつ、それに伴う弊害をほどよく回避することで実現される。

2.デジタル環境

監視資本主義

Surveillance capitalism

Web上に記録された行動データなどの個人情報をもとに、企業がユーザー(消費者)一人ひとりの行動を予測し、自分たちの狙いに合わせた行動へ誘導し、利益をあげる仕組みを指スマートフォンやゲームなどに、ユーザーがやめられなくなる心理学的な設計がなされていることと深く関係している。

監視資本主義:ドキュメンタリー映画)

The Social Dilemma

ドキュメンタリーとドラマを織り交ぜて、自身が開発したテクノロジーに警鐘を鳴らす専門家らとともに、SNSが人間にどれほど危険な影響を及ぼすのかを検証したネットフリックスのドキュメンタリー映画。

データ監視

Dataveillance

個人の活動や通信を調査・監視するために、個人情報システムを体系的に使用すること。"Data + Surveillance"から造語されたもの。

アテンションエコノミー(注意経済)

Attention Economy

人々の関心や注目の度合いが重要な経済的価値となっている経済。インターネットの普及よってもたらされGAFAなどの企業がけん引するとされる。注意が、石油に代わるような資源であり貴重な商品となったとされる。

パノプティコン

Panopticon

看守からは囚人が見えるが囚人からは看守が見えない構造になった円柱状の監獄。哲学者のフーコーが、パノプティコンを、近代社会で権力をもつ少数者による多数の個人の監視と誘導の仕組みを象徴的に表したものとみなして、著作の中でもちいた。

デジタルパノプティコン

Digital Panopticon

ストリーミングサービス

Streaming Service

インターネット上のメディア(映像や音楽など)を連続的に再生することを可能にするサービス。次のコンテンツを自分で選ぶ必要がなく、連続して視聴でき便利なため広く利用されているが、この技術のために多くの子供や大人が、動画漬けの生活を送ることになっているとされる。

情報過多

Information Overload

インターネットやスマートフォンの普及により、以前よりも個人が受け取る情報量が爆発的に増え、情報過多によって必要な情報が埋もれてしまい、課題を理解したり意思決定したりすることが困難になっているとされる情報オーバーロードともいう。

底なしボウル

Bottomless Bowl

SNSやネットニュースなどに用いられる、ユーザーにより多くのコンテンツを消費させるために閲覧や使用をやめるきっかけや手がかりを排除する技術設計上の特徴。食べても食べてもなくならない底がないボウルに例えているトリスタン・ハリスの造語。(英:Bottomless Bowl)

デジタルビュッフェ

All-you-can-eat Digital Buffet

24時間365日、必要のないテクノロジーにアクセスし、それを過剰に消費すること。

デジタルフットプリント

Digital Footprint

インターネットを使用することで生まれるオンライン上に残されたすべての痕跡。アカウント、SNSでの投稿、電子メールの送受信、ウェブページの閲覧履歴など。

マトリックス(映画)

Matrix


世界は、AIによって支配されており、人間はそのエネルギー源として培養装置で育成され、脳に差し込まれたプラグによって、夢を観させられているという設定の未来社会を舞台にしたSF映画。その夢の中で、この世界は現実ではなく機械によって作り出されたシミュレーションなのだと知った1人のハッカーが、人類を解放する抵抗戦を行う。

人々の「注意」が、あらゆるデジタルデバイスに仕掛けられた罠によって奪われ、GAFAMなどの企業の「資源」として採掘されているという現代のアテンションエコノミーのあり方が、映画マトリックスに例えられることがある。

ディストピア

Dystopia

近代文明の非人間的で、合理性重視の社会の傾向が、急激なテクノロジーの進化によって加速させられた結果うまれるとされる暗黒世界。隠れた独裁や横暴な官僚のシステムによって監視され支配され自由がない社会として描かれる。産業革命後に発達した機械文明への批判から、SF小説などに繰り返し描かれてきた。(有名な初期のディストピア小説:エヴゲーニイ・ザミャーチン『われら』(1920年)、オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』(1932年)、ジョージ・オーウェル『1984年』(1949年)など)。


ポリメディア

Polymedia

複数のマルチメディア機器と多様なアナログメディアが生活空間に併存している状況。

3.デジタルテクノロジーのデザイン

技術の道具説

instrumental concepiton of technology

テクノロジーは、目的を実現するための手段にすぎず、人間はそれを道具として使いこなせるものであるという、一般に人がテクノロジーに対して漠然と抱いている感覚をもとにした技術観。一方で、技術哲学者たちは、そうした直観を疑い、テクノロジーは人や社会のあり方やその未来までをも形成(Shape)しうるものであるという主張を行っている。現代のAIやロボットは、まさに人や社会のあり方をも変えるものとされ、ただの道具であり目的の手段に過ぎないという考えは適さないとされる。

人間中心デザイン

Human-centered Design

システムの使い方に焦点を当て、人間工学やユーザビリティの知識と技術を適用することにより、インタラクティブシステムをより使いやすくすることを目的とするシステム設計と開発へのアプローチ。Apple社などの顧問をつとめ、UXなどの概念を生み出したドナルド・ノーマンによって提唱された。

カプトロジ(説得型技術)

Captology(Persuasive technology)

人の態度や姿勢、行動を変える目的で設計された対話的なコンピュータ・システム。スタンフォード大学のB. J. Foggが展開した理論的枠組みで、「説得型技術としてのコンピュータ(computer as persuasive technology)」の略称。現代のアテンションエコノミーにおいて提供される様々なウェブサイトやアプリには、こうした説得型技術の考え方をもとに設計されたユーザーの行動を消費行動に変えるためのデザインが施されている。一方で、消費者を意図しない購買へと誘導しかねないなどのこうした技術は潜在的な倫理的リスクを抱えているため、設計段階で倫理的リスクをできるかぎり予見する必要がある。

ポジティブコンピューティング

Positive Computing

人の「こころ」の領域にまでITが入り込んできた現代において、テクノロジーそのものが、人間の潜在能力を高め、よりいきいきとした状態(=ウェルビーイング)を実現するものであるべきという考えから研究されている技術設計論。シドニー大学教授のラファエル・カルヴォとUXデザイナーのドリアン・ピーターズが提唱した。

人間工学(エルゴノミクス)

Soft Ergonomics

人間工学は、働きやすい職場や生活しやすい環境を実現し、安全で使いやすい道具や機械をつくることに役立つ実践的な技術設計論。人間の身体、感情、認知能力に配慮したインターフェースを前提とする。

UXデザイン

User experience design

製品の物やサービスとしてのクオリティのみならず、その製品を通して得られる体験そのもののクオリティを高めることを目的として、製品やサービスを企画の段階から理想のユーザー体験になるようデザインしていく取り組みとその方法論。

クオンティファイド・セルフ(定量化された自己)

Quantified Sef

クオンティファイド・セルフ(Quantified Self)は、米情報誌ワイアード元編集者のゲイリーウルフとケビン・ケリーが提唱した概念(直訳すると「定量化された自己」)。ウェアラブルデバイスに組み込まれたセンサーによって体温、心拍数、血圧などの状態を測ったり、睡眠時間や運動量を記録することでえられるライフログを、よりよい生活に活用していこうという取り組み・ムーブメント。こちらの専用サイトで現在も様々な情報・話題が発信・議論されているhttps://quantifiedself.com/)。

ライフログ

主にデジタルデバイスによって行われる人生の記録。デジタルデバイスの普及によって、それまで不可能だった様々なライフログが容易に可能になり、とくにApple Watch, Fitbitなどのウェアラブルデバイスの普及やアメリカでのQuantified Self Movement(https://quantifiedself.com/)の影響などによって近年盛んにおこなわれるようになった。生活・行動・体験などを、文字・映像・音声・位置情報・生体情報などの形で、日々デジタルデータとして記録する。

セルフトラッキング

Self Tracking

個人のデータを追跡することで、自分周りの世界を理解すること。クオンティファイド・セルフと同様の概念。セルフトラッキングしたデータを自己のウェルビーイングに役立てるための工夫も行われているが、一方で、測定データやそれを解釈するアルゴリズムを信頼しすぎて、かえって自分の状態にありのままに気がつく能力が失われる可能性がある。

フック

Hook

フックとは、鉤(かぎ)、留め金、引っ掛けるといった意味。デジタルメディアには、消費者の興味を引っ掛ける(つまりフックする)ための手段や技法がふんだんに用いられている。

トリガー

Trigger

特定の行動を取らせることになる内的または外的な要因。こうしたトリガーによって、消費者が設計者の意図した通りの行動を取るように誘導されることになる。

(行動)ターゲティング広告

Behavioral Targeting Advertisement(BTA)


広告の対象となる顧客の行動履歴を元に、顧客の興味関心を推測し、ターゲットを絞ってインターネット広告配信を行う手法。例えば、旅行関連のページを最近訪れたことがあったり、航空会社の広告をクリックしたことがあるユーザーは、「旅行」というジャンルに興味関心があると判定し、「旅行」関連の広告を配信するといったもの。ここでいう「行動」は、ページの閲覧、広告のクリック、検索のキーワードなどを指し、広告の配信を行う媒体・事業者によって定義は異なる。

オプトアウト・オプトイン

Opt-out/Opt-in

オプトアウト(Opt-out)、オプトイン(Opt-in)とは ユーザーが情報を受け取る際や自らに関する情報を利用される際などに、許諾(パーミッション)の意思を示す行為を「オプトイン」という。 反対に許諾しない意思を示す行為を「オプトアウト」という。

クリックベイト

Clickbait

ウェブ上の広告や記事などに、ユーザーの興味を引いて閲覧者数を増やすため、煽情的なタイトルをつけること。 ここで言う「ベイト」とは英語で「餌」を意味し、タイトルがユーザーのクリックを誘導する餌になっていることから名づけられている。 日本語では「釣りタイトル」とも呼ばれる。

mHealth

mHealth

mHealthまたはモバイルヘルスとはスマートフォンなどの携帯情報端末を積極的に医療に導入することで個人の健康を高める仕組み。

コネクテッド・ヘルス

Connected Health

Technology-enabled Care(TEC)とも呼ばれ、医療技術、デジタルメディア、モバイル機器の融合を伴う。

4.デジタルと認知能力

ディストラクト

Distract

Distractは、「気晴らし」などとも訳されるが、デジタルウェルネスにおいては、「誘惑の多いデジタル環境で、注意が分散している状態」を指す言葉として、頻繁にもちいられる。


ディストラクトは、注意を払う能力の欠如、注意の対象への関心の欠如、注目の対象以外の何かより強く注意をひくものがあることなどが原因で起きるとされる。

認知バイアス

Cognitive Bias

物事の判断が、直感や先入観によって非合理的になる心理現象を認知バイアスという。人間が犯しやすい認知的誤りである。主に認知心理学や社会心理学でもちいられる概念。こうした認知バイアスもまた、デジタルデバイスにおけるユーザーを誘導するための技術設計において、ユーザーの行動を理解する重要なポイントとなる。

選択的知覚

Selective Perception

受け取った情報やメッセージの意味を、自分の考えや信念に合致するように変えてしまう人の持つ性質。

認知的不協和

Cognitive Dissonance

私たちが真実と信じている態度や信念と矛盾する情報を受け取ったときに生じる感情的または心理的な不快感。

注意の残存

Attentional Residue

1つのタスクから別のタスクに完全に移行できないことで、集中力が途切れ、不安になること。


スイッチコスト

Switch Cost

通知などによる中断により、タスクから注意が逸れてしまうこと。

タスク切替

Task Switching

心理学用語で、無意識のうちにあるタスクから別のタスクへと注意を移していく能力。

解釈レベル理論

Construal Level Theory

抽象的な概念は遠い将来の意図にしか結びつかないが、具体的な概念や行動(ソーシャルメディアの利用など)は直接的な意図に結びつくという行動経済学の用語。

間欠強化

Intermittent Reinforcement

可変報酬とも呼ばれ、被験者がランダムな間隔でのみ報酬を受け取る報酬プロトコルのこと。ギャンブルはこうした性質を持ち中毒性を高める要因となっている。

マインドワンダリング

Mind-wandering

現在行っている課題や外的な環境の出来事から注意が逸れて,自動的な思考を行う現象である(wanderは「さまよう」「さすらう」という意味)。 いわゆる「心ここにあらず」という状態のこと。

.デジタルコミュニケーション・生産性

ネチケット

Netiquette

オンライン・コミュニケーションに適用されるエチケット・ルール。オンラインでは、オフラインでのマナー基本となるが、オンラインに特有で必要となるエチケットが存在するため注意が必要である。例えば、Zoom会議では、リアル会議とは異なる配慮も必要となる(例えば、顔を出して参加することは、より親密なコミュニケーションをとるために重要だが、一方で、場合によっては、参加者にとって強い心理的負担となる場合もあることに留意するなど)。ネットワークとエチケットを組み合わせた造語。

ファビング

Phubbing

スマホ等のモバイル機器に注意が向いてしまうことで、その場に一緒に人たちを無視してしまうこと。phoneとsnubbingの合成語。

テクノフェレンス

Technoference

私たちの人間関係、仕事、日常生活にテクノロジーが干渉している状態を指す。例えば、食事、遊び時間、その他の日常的な活動中に、テキストメッセージや通知がないか電話をチェックするなどして、家族とのコミュニケーションが希薄になるなど。


フィルターバブル

Filter bubble

インターネット上で、自分と考え方が近く賛同できるコンテンツだけを検索したりフォローすることを繰り返すことで、バブルのなかに包まれたように自分の見たい情報しか触れなくなった状態。閉鎖的な場でのコミュニケーションが繰り返されることにより、特定の信念が増幅または強化されてしまうことを意味する「エコーチェンバー」と同様の概念。

エコーチェンバー

Echo Chamber

閉鎖的な場でのコミュニケーションが繰り返されることにより、特定の信念が増幅または強化されてしまうこと。小さな声でも反響して大きく聞こえる部屋に例えている。(英:echo chamber)

キャンセルカルチャー

cancel culture

著名人などの特定の対象の発言や行動が、モラルに欠く場合などに、SNS上で執拗に攻撃したり、ボイコット運動をすることで、その対象を排除しようとする動きのこと。アメリカなどを中心に2010年代中頃から見られるようになった。他者の過ちを徹底的に糾弾する「コールアウトカルチャー」の一種。

つながらない権利

Right to Disconnect

就業時間仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利。IT化により、雇用形態や勤務時間の自由度が増した一方で、勤務時間とプライベートな時間の境界が曖昧となりこうした権利の主張が行われるようになった。

ソーシャルサポート

他者からえる援助や自分が支援してくれる社会的ネットワークの一部であることの認識。SNSによって、ソーシャルサポートが得られると考えられる。


ネットいじめ

Cyberbullying

ネットいじめとは、スマホやパソコンなどのネット端末を通して、インターネット(主にSNSや掲示板など)上で行われるいじめのことである。誹謗・ 中傷を書き込む、悪質な画像をウェブ上に掲載するなどにより被害者は精神的苦痛を感じている。日本に限らず世界中で問題となっている。

常時接続文化

Always-on Culture

多くの人が、実際には必要がないにもかかわらず、常にインターネットに接続してスマホやPCから情報を確認しなければならないと感じている文化。

カウチポテト

寝椅子(カウチ)でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすような、自分一人の中に閉じこもって、精神的な安らぎを求めるライフスタイル。 また、そのような生活を好む人。

ディープワーク

Deep Work

集中して余計な中断をすることなく行われる高い生産性の仕事。

シャロ―ワーク

Shallow Work

新しい価値を生まない気が散っているときの生産性の低い仕事

ネットサーフィン

サーフィンとは響きがいいが、実際にはネット逃避であることが多い。


マルチタスク

Multitask


デジタルの境界


6.デジタルと心身への影響

デジタル中毒

Digital Addiction

デジタルデバイスに対する中毒症状で、ゲームやSNSなどをやめられない行動における中毒。現代社会において、デジタルテクノロジーが自分の生活に悪影響を及ぼすと知っているにもかかわらず、依存して使い続けている人は多い。何に中毒になるかで、スマホ中毒、ネット中毒、SNS中毒、ゲーム中毒などがある。(英:Digital Addiction)

ゲーム依存症

人間関係や健康面に問題が生じても制御がきかずゲームに没頭し続け、日常生活に支障をきたしている状態。

ネット依存症

勉強や仕事といった生活面や体や心の健康面などよりもインターネットの使用を優先してしまい、使う時間や方法を自分でコントロールできない状態

スマホ依存

スマートフォンの使用を続けることで昼夜逆転する、成績が著しく下がるなど様々な問題が起きているにも関わらず、使用がやめられず、スマートフォンが使用できない状況が続くと、イライラし落ち着かなくなるなど精神的に依存してしまう状態。

FOMO(フォーモ)

「FOMO(フォーモ)」とは、インターネットやSNS上で他人や情報と常につながっていないと、自分が居ない間に他人がよい体験をしているかもしれない、自分だけ取り残されてしまうかもしれないと不安を覚えること。 Fear of missing out (取り残されることへの恐れ)の略語である。

ノモフォビア

Nomophobia

携帯電話が手元にないと不安になってしまうこと。No Mobile Phobiaの略。

メアプレゼンス

Mere presence

スマホが、単に(mere)ある(presence)だけで、心理的な影響を受ける、会話の質や認知能力に影響を与えるという実験結果が報告されている(机の上にスマホがおいてあるか、別の部屋にあるか等の比較実験)。

ドゥームスクローリング

Doomscrolling

ネガティブなニュースを、やめたくてもずっと見てしまい過剰なスクリーン時間を費やしてしまうこと。ネガティブなニュースの消費が増えると、有害な心理生理学的反応が生じる可能性があるとされている。動揺するニュースを見ると、人々はそのトピックに関するより多くの情報を探すようになるミーンワールド症候群との関連が指摘されている。

ズーム疲れ

Zoom Fatigue

コロナ禍でリモートワークが普及することで顕在化した、Zoomなどのビデオ通話を続けることによる引き起こされる疲労不安。

テクノストレス

デジタル苦痛

Digital Distress

デジタルテクノロジーの使い過ぎによって引き起こされる感情的または身体的な悩み

主観的幸福

客観的幸福

ビンジウォッチング

binge watching

連続テレビドラマなど、複数回のシリーズのコンテンツをまとめて視聴すること。 動画配信サービスの登場により広まった。 マラソンビューイング。 一気見。

デジタルシチズンシップ

プライバシー

Privacy


分極化・二極化

意見や信念の異なる2つのグループに分かれること。インターネットが生むフィルターバブルやエコチェンバーなどの状況が、分極化を生んでおり、社会問題となっている。

GDPR

「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)とは、EU域内の各国に適用される法令のことで、個人データ保護やその取り扱いについて詳細に定められている。自然人の基本的な権利の保護という観点から、個人情報の扱いについて規制を行っている。(2018年5月25日施工)

ケンブリッジ・アナリティカ事件



忘れられる権利

プライバシー保護のための新しい権利の概念。 インターネットの発達により、ホームページ上などに各種の個人情報が永年消えずに残るようになった。 このことから、適切な期間を経た後にまで情報が残っている場合、これを削除したり消滅させたりできる権能があってしかるべきだとする考え方に基づくもの。

プライバシーパラドックス

Privacy Paradox

プライバシー・パラドックスには、現代のIT社会において人々が陥っている次のような状態を指す。

1.情報技術を利用してオンライン上の人格を持つことが求められる一方で、個人の安全やプライバシーが脅かされないようにしなければならない状態。

2.個人はしばしば、自分のプライバシーへの脅威を懸念していると主張するが、自分の個人情報を保護するために行動していない状態。

3.プライバシーに関する問題が発生する可能性があるにもかかわらず、個人が個人情報を共有し続けている状態。

4.プライバシー保護への懸念とプライベートでセンシティブな情報を露出・公開する実際の行動との間にある矛盾。

シャドープロファイル

Shadow Profile

シャドープロファイルとは、Facebookに収集・蓄積されている、Facebookにユーザー登録していない者(非利用者)の情報の通称である。Facebookには、ユーザーのメールやSNSのアカウントに(ユーザーの許可を得た上で)アクセスし、そこで得た情報をもとにFacebook内の友人・知人を自動的に探す機能がある。この一連の流れで得られた個人情報のうち、Facebookを利用していない(Facebookのユーザーでない)人物に関する情報も、Facebookは秘密裏に収集・蓄積しているとされている。

制度的レイシズム

Institutional Racism

公的機関や民間企業は、その基盤に人種差別を組み込んでいるという概念。

批判的人種理論

Critical Race Theory


人種差別は、社会における権力のシステムと構造の中核をなすものであるとする概念。

アカウント凍結


デジタル遺品


8.デジタルウェルネスの実践

森林浴

Shinrin Yoku

森林において、木々が発するフィトンチッドなどが持つ癒し効果などを期待し行われるレクリエーション。日本から広まったこの森林浴の概念は、欧米を中心に「Shinrin Yoku」として広まっている。また、森に入ることで、自ずとデジタルデバイスから遠ざかりデジタルデトックスされる。

マインドフルネス

Mindfulness

次々と生じている今この瞬間の出来事や経験に受容的な注意でありのままに気づいていること。心ここにあらずの状態から抜けだし、心を「今」に向けた状態。マインドフルネス(Mindfulness)は、「気がついている、意識している、注意深い」といった意味の形容詞であるMindfulの名詞形であり、英語における意味は「注意していること、忘れないこと」である。そして、このマインドフルネスを高めるために実践されるのが、マインドフルネス瞑想(Mindfulness Meditation)である。集中瞑想(意識を集中する瞑想)と洞察瞑想(気を配る瞑想)の2種類がある。一般には、マインドフルネスという言葉のみで、メディテーションまで行うことを意味する場合が多い。


デジタルウェルネスにおいては、デジタルデバイスの存在や私たちへの働きかけ、とくに、注意を奪おうと組み込まれた設計によって、受動的にクリックしてしまうなどの状況に対し、ユーザーが注意深く接し、自分の意図にしたがって、能動的に取捨選択できるようになるために、マインドフルな状態になる必要性がある。そのために、マインドフルネスの状態でデジタルデバイスに接するべきであり、その気づき、注意のトレーニング方法として、マインドフルネス瞑想が有効であると考えられる。


マインドフルイーティング

Mindful Eating

自分の体に入れた食べ物や飲み物にその場で意識を向け、食べ物がもたらす気分や、味、満足感、満腹感について体が発するシグナルを、判断するのではなく観察すること


デジタルデトックス

Digital Detox

デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコン、ソーシャルメディアなどのデジタル機器の使用を自主的に控えること、またはその期間のことを指す。個人がデジタル機器やインターネットに触れる時間が増えていることから、このような形のデトックスが世界的に注目を集めているが、その効果については様々な議論がある。そのデジタルデトックスを行う期間は、短いものから長いものまで考えられるが、

ジャーナリング

Journaling

ひたすら思いつくことを没頭して書くことを日記をつけるように続けていくこと。書く瞑想ともいわれる。自ずと自己を振り返ったり、自己の内面の理解を深めることとなり、生活の質向上するとされる。

その方法はとてもシンプルで、好きなノートと筆記具(またはジャーナリングのためのアプリなど)を用意し、一定の時間、思い浮かぶことをただひたすら書いていくというもの。特に明確な気づきがなかったとしても、書きながら「今、この瞬間」に集中することで、マインドフルネスの瞑想のような安らぎが得られるとされる。


デジタルウェルネスリテラシー

Digital Wellness Literacy

デジタル環境において、デジタルウェルビーイングを実現するために必要なリテラシー。


デジタルミニマリズム

Digital Minimalism

自分が大切にしていることをサポートしてくれる厳選したツールやアプリを必要最低限の時間のみ使用し、それ以外のことは進んで手放すというテクノロジーをどう使うのかに関する考え方。その反対の考え方は「デジタルマキシマリズム」。

タイムウェルスペント

Time Well Spent

スマートフォンやそのアプリ等の開発において、これまでの「どれだけ長くサービスに滞在させたか(注意を奪えたか)」を評価指標とするのではなく、「どれだけよい時間を過ごせたか。」を評価指標とすべきという考え方。トリスタン・ハリスが提唱する考え方。この考え方から生まれたものとして、スクリーンタイム機能がある。

スクリーンタイム

Screen Time

スクリーンタイムは、スマホやタブレットの利用時間を意味する言葉だ。iPhoneやiPad、MacBookなどのApple製品には、同名のアプリがGoogleのAndroid端末には、同様の機能を持った「デジタルウェルビーイング」のアプリがプリセットされている。


スクリーンタイム管理アプリの目的は、ユーザーが、自分でどれくらいの時間、何のアプリに時間を使ったかや何回手に取ったのかなどの情報をリアルタイムで確認したり、日、週、月などでどのように使用時間が推移しているかを確認し、使いすぎや無駄な時間の使い方に気がつき、必要に応じて制限をかけられるようにするために、2017年頃から、順次導入された。親が子供のスクリーンタイムを管理する目的でも利用されている。


その背景には、元Googleのトリスタン・ハリスらによる、どれだけ時間を使わせたかではなく、どれだけ良い時間を過ごしてもらったか(Time well spent)で、デバイスや事業の価値を評価されるべきだという運動がある。

その他

トリスタン・ハリス

デジタルウェルビーイングにおけるオピニオンリーダー。元Googleの倫理担当で、説得型技術の研究で著名なスタンフォード大学のB.J.フォッグの元で学生時代は学んだ。

>> 海外の研究機関の紹介