現代のアテンションエコノミー、監視資本主義社会とよばれる経済・社会環境の中で、AIやロボティクスの発展により、ますます様々なAIを搭載したエージェント型のテクノロジーが私たちの行動や考え方、意識に大きな影響を及ぼそうとしています。このようなデジタル世界は、まるでディストピアのようだと言われることがあります。
しかし、日本人は、世界の他の国の人々に比較して、こうしたテクノロジーの脅威に対してかなり鈍感であると言われています。その理由を、テクノアニミズムなどの考え方に求めることがありますが、まだまだ研究段階であり実際のところはよくわかってません。実際に、デジタルウェルネスラボ設立メンバーの一人が、あるアメリカの著名な技術哲学者にそのことを尋ねたところ、やはり、その理由を彼自身、長年探してきたが容易には見つからないのだと教えてくれました。私たちは、それほど独自のテクノロジー観をもっているのかもしれません。
したがって、必ずしも、テクノロジーによって世界はディストピア化しているという考え方自体が、日本人に合うわけではありません。また、海外で近年研究されつつあるデジタルウェルビーイング、デジタルウェルネスの成果を、そのまま日本人にあてめることもふさわしくないでしょう。そもそも、テクノロジー観が異なるのです(さらに、ウェルビーイング観もまた大きな文化的な違いがあることが指摘されています)。
ですから、私たちは、日本人のための日本文化に根差した「デジタルウェルネス」も探求していく必要があるのです。そのためにはまず、デジタルテクノロジーが私たちにどういう影響を与えているのか、また、どういう存在なのか、私たち一人一人が、よりよく向き合い、見極め、試行錯誤し、そしてそこで得られた知恵ををお互いに共有し、わたしたちのデジタルウェルネスを共に作りあう、そういったことが必要なのです。
デジタルウェルネスラボは、スマートフォンからAIロボットまで、あらゆるデジタルテクノロジーが、すべての人のウェルビーイングにとってよりよい働きをするために、子どもたちを含めた使い手の立場として、エンジニア・設計者・事業家などテクノロジーを提供する立場として、どうすべきかを共に考えていく場です。2021年に研究者や複数の企業による共同体としてスタートしました。その成果は、教育や実際の技術設計へと応用していきます。
デジタルウェルネスラボ共同設立者一同
信原幸弘
デジタルウェルネスラボ顧問
専門:心の哲学、ウェルビーイングの哲学
東京大学名誉教授
メンバー、協賛企業についておって追加掲載していきます。
名称:デジタルウェルネスラボ(Digital Wellness Lab)
設立: 2021年10月
共同設立者:荻野淳也、出村宣子、七沢智樹
代表: 七沢智樹
顧問: 信原幸弘 (東京大学名誉教授)
組織形態:有志団体(現時点で法人格なし。今後法人化を検討。)
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